ジュエリーと共に今を輝き、未来も輝く
「~ジュエリーと共に今を輝き、未来も輝く~誕生石、星座石、曜日石に秘められた真実」。ジュエラーの店から正しいメッセージを発信するための手がかりのひとつとして、宝飾文化人類史をジャパン ジュエリー ビジネス スクール(JBS)の畠健一校長に語ってもらいます。毎月1日号で次回からは本紙「THE WATCH&JEWELRY TODAY」に掲載します (12回連載=予定)。
業界新聞『THE WATCH&JEWELRY TODAY』(時計美術新聞社)に掲載されています。
第11回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
薄明かりがさしはじめる東の空、日の出まじかのほんのひと時、私達にその姿を見せてくれるのが水星です。夕闇せまる頃、ふたたび西の空にその姿をあらわしてくれるのですが、太陽と共にすぐに沈んでしまします。
古来より水星をみつけることは困難とされ、かのコペルニクスでさえ「生涯、水星という天体を目にした事がない」と嘆いていた程です。そんな水星を探し求めて、もしも見つける事が出来たなら、幸運を手にすることが出来るかもしれません。
太陽に一番近い水星は猛スピードで太陽を一周しています。地球が365日かかるのに水星は88日で一周てしまいます。軌道は楕円形を示しつつ毎年僅かに道筋をずらし、その軌跡はロゼッタ模様を描いています。水星はあちらこちらに道筋を変えながら周遊し、見聞を広めまるで旅を楽しんでいるかのようです。
悠久の昔、広陵たる大地を一歩一歩旅して歩い先人にとってスピード感溢れる水星は、羨望の眼差しで見つめる存在でした。。
いつしか神話の世界において水星は旅行と通信の神様として崇められていきました。その水星の象徴色は黄色、象徴する第一曜日石と言えばゴールデン
イエローに輝くトパーズです。
旅行といえば鞄が必需品、ある鞄屋さんが旅行の神・水星にあやかりその名を頂きました。ギリシャ神話における水星の神の名は「エルメス」です。そうですあのエルメス社のテーマカラーと言えばもちろんトパーズ色、言うまでもありません。
水星のもう一つの顔は通信の神様ですが、世はインターネットの新しい通信時代を迎えています。インターネットを題材にして大ヒットした映画と言えば「電車男」。ヒロインはエルメスでした。
水星の象徴する意味は、そのスピード感から“俊敏”です。また旅の経験から得られる豊富な知識からでしょうか“利口”、“話術”の象徴とされています。
彗星のように現れたゴールデンルーキー、ゴルフ界の星と言えば石川遼選手。誕生日は1991年9月17日の水曜日生まれです。石川選手の“俊敏”なフルスイングによる飛距離は抜群、インタビューで見せる“話術”は天性そのものと思うのは私だけでしょうか。
何千年もの統計学から割り出された星占いによると、水曜日生まれの人はプラスに働けば豊富な知識と理論、饒舌、機知と才智、コミュニケーション力、そして商魂の持ち主です。マイナスに働くと身代わりの速さ、おしゃべり、ペテンだそうですが水曜日生まれの方々、思い当たる節はおありでしょうか、あくまでも統計学ですが。
曜日石トパーズは、水曜日生まれの人だけが持つ宝石ではありません。
“曜日”の意味は「光り輝く」です。その由来の曜日石は、月、火星、水星、木星、金星、土星、そして日・太陽の星のように光り輝きたいと願う人が身に解ける宝石です。水曜日の神・エルメスのようにゴールデンイエローに輝きたいと願う人はトパーズです。
水星は探し求めてやっと見つけることができる星ですが、水星は旅の神であり、迷える旅人に勇気を与えてくれる星です。人生は旅のようなもの、旅の先に探し求めていたものと出会えたら幸せです。
トパーズの語源をご存知でしょうか、それは「探し求めて」。春の芽生え、夏の栄え、そして秋の実り。秋は黄金の稲穂が象徴する実り豊かな世界です。それは人生の実りの色・・?
トパーズ色そのものです。
トパーズの宝石言葉は「幸福」です。
曜日石は願いを叶えてくれる一番身近な星の一つです
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第10回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
漆黒の闇夜に明るく、そして少し赤く輝く星を見つけたらそれは火星です。太陽の周りを楕円形を描きながら公転する火星は、2年2ヶ月毎に地球に近づき、最も近づく大接近は15毎におこります。ピークを迎える頃には、日一日と赤い輝きを増し続け、-3等星以上の明るさを示します。
“火の星”と命名された火星はどんな星なのでしょう。火星検索船『マリーナ4号』から送られて来た映像を見ると、火星は赤色の大地である事が判明しました。地中からは燃えたぎるマグマを何十億年もの間、噴出し続けています。そのなかでもオリンパス山は、何と標高2万6000m。エベレストの8876mをはるかに超える3倍強の高さを誇っています。地球の半分の大きさの火星が、太陽系随一の高さを誇る大火山を誕生させました。その他1万m級以上の火山もそびえたち、先人が命名した火星はまさに活気に満ち溢れた星である事を、現代天文学は教えてくれました。
夜空に浮かぶ星を眺めていると、ついついロマンの世界に引き込まれてしまうのが現代人なら、悠久の昔、私達の先人はどんな思いで見つめていたのでしょう。大自然にほんろうされ、戦争に明け暮れ血を流し、当時の人々は今よりずっと厳しい生存競争の中で生きていました。そんな闇夜の中、赤く輝く“火星”は先人の胎内に流れる血を躍らせ、血を奮い立たせてくれたに違いありません。火星は血の色、そして真っ赤なマグマが燃え盛る炎の赤色です。
先人達の目に映る火星は勝利に導く炎の星でした。シュメールの神話、バビロニアの神話、そしてギリシャ神話の中でも名前は違えども軍神、炎の神として崇められていました。
火星の象徴色は赤色、象徴する第一曜日石はもちろん赤く輝くルビーです。火曜日生まれの人の性格は、火星のような情熱的で活発な人なのでしょうか。何千年もの統計学から割り出された星占いによると、プラスに働けば冒険心に富み、勇敢、何事にも情熱的でエネルギッシュ。マイナスに働けば衝動的で残忍な性格、短気、暴力的だそうですが、火曜日生まれの方々、思い当たる節はおありでしょうか。あくまでも統計学ですが。
実は曜日石ルビーは、火曜日生まれの人だけが持つ宝石ではありません。例えば、受験生の多くが学業の神、天神様のお守りを身につけるのと同様に、人生の勝利、仕事の勝利を願う全ての人々にとって曜日石ルビーはお守りです。
曜日石とは願いを叶えてくれる神への捧げ物、捧げるとは常に身を飾り持ち続けることです。つまり願いが叶うまで情熱を持ち続けせてくれるお守りです。その一途な情熱を持ち続けることが、太陽系随一のオリンポス山を誕生させました。
そうは言っても、人の心は弱くコロコロ代わるから心と言います。
だからこそ曜日石で身を飾ることが大切です。
ところでご存知でしょうか、ルビーにブラックライトをあてると、目の覚める鮮やかな赤色蛍光色を発色する事を。ルビーが発する強力なエネルギーを更に増幅させ、ついに人類はルビーからレーザー光線を手に入れました。
男女を不思議な縁で結んでくれる見えない糸を、“赤い糸”といいますが、その正体は情熱光線、ルビーレーザーだったのかもしれません。胸元の小さめの愛らしいルビーが放つ現代の赤い糸“レーザービーム”は、意中の人のハートを美しく射抜いてくれることでしょう。
ルビーのもう一つの宝石メッセージご存知でしょうか。それは“恋の勝利”です。
星のようにきらめいて、心はいつもときめいて、そして内なる魂にひらめいて。
曜日石は、願いを叶えてくれる一番身近な星の一つです。
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第9回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
月が東から出て西に沈むのはご存じのとおりです。寝待ち月といって、夜遅くにしか月が出ない暗い日もありますが、太陽、地球、そして月が一直線上に並ぶと、美しい満月の日を迎えます。その日は太陽が西に沈むのと呼応するかのように、東の空に満月がかかります。翌朝日の出と共に月は沈みます。
美しい満月はロマンの境地に人々を誘い込み、人恋しさが心に募ります。この時、愛の告白はなぜか成就の確立が高いといわれていますが、真偽の程はいかがでしょう。思い当たる節もあります。
浜辺では珊瑚をはじめ、海の生き物が産卵の時を迎えます。何故なら月と太陽の引力が大潮を引き起こし、一方向の潮の流れが精子と卵子の受精の確率を高め、生き物たちの生殖活動を促すからです。
月の満ち欠けは、28日周期、毎月の女性の月のものこの事に起因します。
神話の世界は必要以上にデホルメされ、面白おかしく書かれていますが、そこには、後世の人々に伝え残したい先人の熱いメッセージが込められています。もともと人類に備わる自然を感知する本能によるヒラメキと、知能を働かせた鋭い観察力はさすがです。
ギリシャ神話における月は『生命と豊穣の女神』、まさに月の本質を言い表していると言えるでしょう。満ち欠けを繰り返すことから変化を表す受動性、女性、母性、想像力豊かな感情の象徴とされています。
占星術による月曜日生まれの人のプラスと、マイナスを下記に印してみました。
プラスに働けば豊かな感情、繊細でロマンチスト、優しい母性です。マイナスに働けば激しい変化、神経質、潔癖、気分屋、独りよがりです。
あくまでも統計学ですが、月曜日生まれの方、当たっているでしょうか。
月の女神が支配する事柄はものを生み出す力です。したがって恋愛、結婚、子宝を授ける事、そして夢を生み出すいわゆる発想力を授けて下さるといいます。
結婚の成就を願い、想像力を働かせるプランナーの仕事と両立を目指す人には、有難い女神です。
その女神の象徴色は白色、月そのものの色、母性と純潔を象徴しています。月曜日の象徴石、つまり曜日石はもちろん真珠です。
月の曜日石、真珠を身につけると柔らかな物腰、丁寧な言葉遣い、ロマンチストで順応性のある優しい性格、強い好奇心を与え何でも興味を示すよう性格づけられるので、何事にもチャレンジ精神を発揮する力を与えると言い伝えられています。
実際、真珠のネックレスを身につけると、幾重にも重なる真珠層の一層一層から発する柔らかな光が首元をやさしく包み込み、最高のポートレート効果を発揮します。
見る者の目には清楚で優しい母性を印象付け、恋愛運は上がります。
人の心は弱く、時に悩み、苦しみ迷います。そんな時、背中を押してくれる曜日石の存在はありがたいものです。
先人が残してくれた英知“宝石で身を飾る”本来の意味を感謝と共に素直に受け止め、是非生活に、人生に生かしていただきたいものです。
曜日石は、願いを叶えてくれる、一番身近な星の一つです。 星のようにきらめいて、心はいつもときめいて、その為には内なる魂にひらめいて。 次号は、火曜日の曜日石、ルビーです。
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第8回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
都会の喧騒を離れ、人里離れた里山でたまには夜空の星を見上げて見ませんか。幾千億の星達が私達をむかえてくれることでしょう。
神々しく輝く夜空の星を見上げていると、ごく自然に『星に願いを・・・』のフレーズが心に浮かびます。
一番星に願う、流れ星に願う、7月7日の七夕祭りもその一つです。
私達はいつ頃から、星に願いを託し、祈りをささげていたのでしょう。
それは、6000年前のシュメールの人々の時代です。四大文明が始まるほんの少し前、自然環境が厳しく、一つの旅が命がけの時代です。星の輝きは旅人に現在位置と、行く先を示してくれました。民の生死を決める苦渋の選択を迫られた時、王は星に信託を仰ぎ、活路を見いだしていました。
『星に願いを・・・』切実な願いです。先人は幾千の星の中から、最も願いを叶えてくれるお星様を見つけ出していました。当時の人の言葉を借りれば、大自然を支配している神の星です。太陽(日)、月、火星、水星、木星、金星、土星の7星です。
7つの星にはそれぞれに象徴色の色合に合った曜日石があり、7星それぞれの星の化身として大切にされていました。もし、現代ヴァージョンに置き換えるなら、どんな使い方をしたら良いのでしょう。
例えば、あなたがプロジェクトを成功する為に、熱い情熱を欲しいと願うなら、情熱と戦いの星、火星を選びましょう、曜日石はルビーです。火星の神マルスに敬意を表し捧げます。捧げるとは身につけ飾る事。ルビーは火星の化身、あなたの願いを叶えます。『星に願いを・・・』の源流です。宝石で身を飾る原点です。
太陽系惑星に属する7つの星をもう少し深めてみましょう。起源はある星の爆発に始まりました。その後宇宙にばら撒かれた星のかけらは集まりはじめ、新たな星を生み出していきました。それが地球を含めた太陽系惑星の7星です。
7星は、地球の兄弟姉妹星である事を、現代天文学は語り始めています。先人が神として崇めた7星とは、切っても切れない絆で結ばれていました。地球という星から生まれた宝石はまさに星の子、7つの星から見れば、甥・姪というところでしょうか。
曜日石は星の化身です。曜日石は、一番身近な星の一つです。
『夢は見るものではなく、叶えるもの』サッカーワールドカップチャンピオンに輝いた“なでしこジャパン”の立役者、澤穂希さんの言葉です。絶対にあきらめず思い続ける事、彼女はそう言い続け日本女子サッカーの輝く星になりました。あきらめない事の大切さを彼女は教えてくれました。しかしながら、あきらめずにやり通すことは、なかなか難しい事。人の心はコロコロ変わるから、心と言うのですから。
人は弱い生き物です。悩み、苦しみ、迷います。
何かの後押しが必要です。
『星に願いを・・・』先人の英知を、是非、現代に生きる私達に活かしていきたいものです。女子力を高め芸術センスを高める事を願うなら、金星の女神アフロディーテにエメラルドを捧げましょう。捧げるとは身につけ飾る事。心の内面からあなたを輝かせてくれる事でしょう。
“星のようにきらめいて”
曜日石は、願いを叶えてくれる、一番身近な星の一つです。
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第7回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
“ダイヤモンドは永遠の輝き”というフレーズは、魅力的なキーワードです。“パワーストーン”という命名も、つい身につけたくなる表現です。残念ながらカラーストーンには、そんな心に響くキーワードが見当たりません。心ときめくストーリー、真理に基づく歴史があり、本物のメッセージを発するテーマはないものでしょうか。
1つご紹介したいテーマがあります。それは曜日石、曜日石を一口で言い表すと、“曜日石は、願いを叶えてくれる、一番身近な星の一つです”。
曜日石とは、どんな宝石のことでしょう。
私達は、『月・火・水・木・金・土・日』と仕事始めの月曜から週末を迎える日曜まで、星の名が付く7日間を一週間として暮らしています。その曜日にちなんだ宝石が曜日石です。
よく知られている誕生石・星座石のルーツです。プリミティブなキバや爪を身につけていた装飾品から、輝く宝石で身を飾る宝飾文化への扉を開き、美しいジュエリーへの幕開けをもたらしてくれたのが曜日石です。
6,000年前、イラク北部に住むシュメールの人々は、夜空に輝く幾千億もの星の中から、季節の変化、それにともなう果実や穀物の豊穣月を、12星座の運行から読み取っていました。当時の人々の言葉を借りると、12星座を支配し、大地のリズムを生み出しているのは、太陽(日)、月、火星、水星、木星、金星、土星の7星でした。実際7星は、地球という星に最も近く、生命のリズムに大きな影響を与えています。
例えば太陽系惑星、7星の引力のバランスによって、太陽、地球、月が一直線に並んだ時、私達の頭上には美しい満月がかかり、なぜか人恋しく、ロマンティックな夜を迎えます。海辺では、珊瑚を始め海の生物が産卵の時を迎えます。月と太陽の引力が大潮を引き起こし、一方向の潮の流れが、精子、卵子の受精の効率を高め、生き物たちの生殖活動を促すからです。女性の月のものも、この事に起因します。
私達の生命リズムに深く関わる7星から、太古の昔、自然な形で生活リズムがうまれました。私達が良く知る一週間を7日とした曜日です。“真理は普遍化する”、現在では、全世界の人々に広まっています。曜日名はもちろん、7つの星の名がつけられました。自然崇拝の世界観から、神として崇め、7つの星は神話の宝庫となっています。
神々しく、月は白く輝き、火星は赤く輝いています。それぞれに神の光をイメージする象徴色が選ばれました。驚く事に、天体望遠鏡で7星を観察してみると、当時の人々が定めた象徴色とほぼ同色をしています。
『太陽(日):無色』『月:白色半透明』『火星:赤色』『水星:黄色』『木星:紫』『金星:緑』『土星:青・黒』です。
天上に輝く星、地上にはその象徴色と同色の宝石が輝いていました。漆黒の闇夜に生きた先人の目には、象徴色と同色に輝く曜日石はまさに星の化身、7星の星に通じ合う地上の星でした。身に飾り、身を照らす“曜日石は一番身近な星の一つです”。
“星に願いを・・・”次号に続きます。
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第6回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
「マッチとライターなしで火をつける事が出来ますか・・・?」講座の冒頭で、よくそんな質問を投げかけます。
“木と木をこすり合わせる”、“石と石を叩く”。そんな答えが返ってきますが、では、“何の木、どんな石を使いますか”と問えば、互いに顔を見合わせ答えに窮されてしまいます。
今や、火はなくとも、夜の明かりは蛍光灯が、冬の暖はストーブが、そして料理は電子レンジが担ってくれて、私達の家の中ではとうに火の出番はありません。
つくづく、人間が築き上げた物質文明は有難いものだと思います。しかし、ひとたび荒れ狂う大自然の猛威にさらされると、砂上の楼閣に過ぎぬのも現実です。
東日本大震災によってまさにその事を思い知らされました。あの時、“火”は炊き出しの温かい食べ物をつくり、凍える体には暖を与え、そして真っ暗闇を明るく照らしくれました。いざという時には人類が生きていく上で、火は無くてはならない大切なものだと改めて痛感させられました。
何が言いたいのか。時代が進めば進むほど物の大切さは薄れていき、物の本質が見失われてしまうという事です。
では、私達が扱う宝石・ジュエリーはいかがでしょう。
ここ十数年で贅沢の民主化が始まり、一億総中流という甘言と共に、お洒落商品の一つとして、広く親しまれるようになりました。益々ジュエリーはアクセサリー化し始めています。一方その反動からか、何らかのパワーの意味を持ったパワーストーンというジャンルも広まっています。
本来宝石・ジュエリーで身を飾る事は、精神性を高める上で、大切な意味を持っていました。時代が進むほどに、そのジュエリーの大切さが見失われ、やがて“宝の持ち腐れ”になってしまっては残念です。
アクセサリーではなく、パワーストーンでもない、数十万円もする宝石を扱う以上、“見識あるジュエラー”として、ジュエリーが何故人類に必要だったのか、ジュエリーの本質的価値は何か、正しく語る事が消費者に望まれています。
“誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実”というタイトルで連載を進めてきましたが、最終章の曜日石で、その真実に迫りたいと思います。
宝飾文化人類史をまとめる事が、私のライフワークです。
1万年前の装飾、そして6000年前から始まる宝飾史をひも解いてみても、なかなか神秘のベールの向こうの真実は見えてきません。そこで、猿から人へ進化し始める400万年前の石文化から、現代に至る宝飾文化を、素材史としてとらえてみました。石が何故“宝石”と命名されたのか、その真実が見えてきました。
さらに宝石そのものの歴史を知ることも重要です。ビッグバンから始まる宇宙・地球史です。
宇宙・地球史を加え、素材史、そして宝飾史の3つの視点から、宝石・ジュエリーの真実に迫る試みが私の宝飾文化人類史です。先人の英知の結晶が宝飾文化に刻み込められています。その一つを紹介したいと思います。
“宝石は願を叶えてくれる一番身近な星の一つです。”
そのルーツは、曜日石にあります。
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第5回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
“人としておごり高ぶることなかれ”誕生石は、人として清く正しく生きる為のお守りです。
人口も増え、人間社会が形成され、生活物資の為の商いも盛んになった時代にうまれてきました。いつの時代も同じように、神をも恐れぬ強欲な商人が現れ、そうした横着者に対する宗教的な戒めが、誕生石には込められています。
“星座石は大自然の恵みを感受し、畏怖の念を忘れず、自然と共に生きるお守りです。”
誕生石よりも時代は古く、6,000年前、農耕牧畜はじめたシュメール人がそのルーツです。
農耕牧畜の発展が生存の要“食”の支えとなり、文化文明を築く原動力になりました。その中で最も危惧するのは、チグリス・ユーフラテス川の氾濫です。
先人は、星の運行、宇宙のリズムに大地が呼応し、刻々と変化していく様を読み取りました。特に氾濫時期の推測は、生きるか死ぬかの大切な予見です。平時においては、星座と共に移り変わる自然に合せてつつましく生きていました。大自然を動かす天上の星は絶対的な力、神としてあがめられ、星の神話が生まれました。同時に天文学として発展し、太陰暦が発明されたのもこの頃です。
毎年、天上に同じ星座が輝くと、同じ花が咲き、同じ動物が発情期を迎えます。その観察から、人間にも目が向けられ、誕生した星座・曜日から、2,000数年の統計から占星術があみ出されました。
6月の花嫁ジューンブライドのルーツをご存知でしょうか。
天上に牡羊座が輝くと雌羊に赤ちゃんが生まれ、雌羊に母乳がでる季節です。牡牛座は、牡牛と雌牛が発情期をむかえます。春は恋の季節、双子座が輝きだすと“双子”つまり“カップル”がうまれます。言いかえると、人も結婚する時期を迎えます。当時は産めよ増やせよの時代です。双子座でめでたく結婚。ハネムーンベービーは、十月十日後の牡羊座の誕生となります。万が一早産でも、魚座で生まれ、水瓶座で生まれる事を避けていました。何故なら乾期だったからです。魚座をむかえると、放牧から牛や羊をひき連れて夫達は帰ってきます。魚座は雨の降る季節、草木が生い茂り豊かな緑に包まれます。若し母乳が出なくても大丈夫、雌羊のお乳を与え、死亡率を下げる事が出来ました。
先人の英知は、ギリシャにも伝わり、ジューンブライド 6月の花嫁として今に伝えられているのはご存知のとおりです。
各星座の選定には、先人の英知が詰まっています。たとえば、山羊座の星座石はブラックオニキス。さて、何故でしょう。 山羊座(12月23日~1月20日)が輝く頃、かの地は乾期の真っ只中、ヤギの頭を生贄に捧げ、夜空に煌々と輝く神々に雨乞いをする季節です。夜空は宇宙、黒の世界です。故に黒の宝石“ブラックオニキス”が選ばれています。宝石メッセージは“気象予知”、絶えずブラックオニキスを身につけ、雨乞いを祈っていました。星座石は色を中心に選定されています。現代ヴァージョンなら“ブラックダイヤモンド”がお勧めです。
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第4回誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実
“生”まれた“日”と書くと『星』になります。あなたはどんな星のもとに生まれ、どんな星をもっているのでしょう。
よくあの人は星をもっているとか、どの星のもとに生まれたのだろうかとついつい口に出てしまいます。斎藤祐樹投手は何かを持っている、『それは仲間です』と本人が言っていました。巨人の星にはなれなかったですが、日本ハムの星にはなれそうです。
斎藤祐樹投手の生年月日は、1988年6月6日水曜日、双子座生まれです。双子座の星座石はトパーズ、宝石メッセージは『友情』です。何やら、彼が言った『仲間』と符合するようです。水曜日生まれの曜日石は、黄色系の宝石で、トパーズです。水曜日生まれの人は、俊敏でスポーツセンスがあり、話術が得意な星の生まれです。
私は占星術師ではありません。宝飾文化研究家です。星占いのうんちくを書くつもりはありませんが、よく符合しているので驚きです。
星のように輝いて誰しも人生を歩みたいものです。
実際に世の中には星のように輝いて活躍している人も大勢いらっしゃいます。彼ら、彼女らを私達はスターと呼んでいます。ゴルフ業界のスターと言えば、石川遼選手。生年月日は1991年9月17日生まれの乙女座です。乙女座の星座石はサードオニキス、宝石言葉は『誠実』、石川遼選手そのままです。生まれた曜日は、斎藤投手と同じく水曜日、『俊敏』と『話術』が得意な星の生まれです。
人生、何をするのか明確な星を見つけた人、見つけられない人がいる中で、自分の星が見つかれば本当に幸せな事です。自分の星を見つけるにはまず、スタート地点にタイムスリップしてみましょう。
貴方の生まれた日は、頭上にはどんな星が輝いていたのでしょう。貴方の生まれた日はどんな日だったのでしょう。天上には美しい星が輝いていました。地上には美しい花が咲いていました。地中には美しい宝石が眠っていました。その地中に眠る貴方の生まれた星座の星座石、生まれた曜日の曜日石をご存知でしょうか。宝石を何故に身につけてきたのか、そのルーツの宝石達です。
春夏秋冬、季節は巡り、毎年同じように4月になれば桜が咲くのはなぜでしょう。太陽、そして太陽系の惑星、それを取り巻く星座の運行、宇宙のリズムによって地球は呼応して季節は移り変わっていきます。
星の観察から神話が生まれました。やがて天文学へと発展し、太陰暦を発明したのは6000年前のシュメールの人でした。朝テレビで流されている星占いも神話、天文学と密接な関係を持ち、そのころに生まれました。当時の天才たちは、星からのインスピレーション、ひらめきを覚え、地上の星、星座石、曜日石に宝石メッセージとして残しています。
貴方の星座石、曜日石に込められた宝石メッセージを読み解くと、ひょっとして貴方の星を見つける手がかりになるかもしれません。
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第3回誕生石、星座石、曜日石に秘められた真実
今、カラーストーンがとても売り上げを伸ばしています。パワーストーンとしてですがと言えば『何だ』と思われることでしょう。実はジュエリーのカラーストーンも、パワーストーンのカラーストーンも、元をたどれば同じルーツです。『否、ジュエリーのカラーストーンの方が、進化形で洗練された正統なもの』と言ったらお叱りを受けるかもしれませんが、実際にはそうです。
私は占い師、占星術師ではありません。宗教家でもありません。私は宝飾文化研究家です。宝飾文化を学んでみると、“ポップに使える”“気のきいた案内状が出せる”“セールストークを一歩進めた語りが出来る”“商品開発の参考になる”等のお声をよく耳にします。特に誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実は、とてもシンプルに宝石の奥深さが心に入ります。正しく理解し、正しく店頭で語って頂ければ、カラーストーンの需要は高まると確信しています。
広く世に広まった誕生石の選定は、イスラエル民族の神話をまとめた旧約聖書の「エゼキエル書」「出エジプト記」、そして新約聖書による「ヨハネの黙示録」からだと言われています。その聖書には、どのような事が説かれているのかご存知でしょうか。「エゼキエル書」からひも解いてみましょう。
「―商いに多くの知恵を使って財宝を増やし、貴方の心は財宝で高ぶった。それゆえに神である主はこう仰せられた、あなたは自分の心を神の心のように見なした。
―以前あなたは知恵に満ち、美の極みであった。あなたは神の園エデンにいて、あらゆる宝石があなたをおおっていた。」
清き心に宝石は身につくが、傲慢、強欲になると宝石は離れていき、天罰が下ると説かれています。
「出エジプト記」では、ユダヤの12部族を象徴する12の宝石を、高僧が祭服の胸あてに並べて飾っていたと書かれています。いわゆる「裁きの胸あて」です。宝石は天上の12星座、神々を象徴しています。罪深き者は宝石イコール神の名もとに裁くという戒めです。
最後に「ヨハネの黙示録」です。「―聖なる都、新しいエルサレムが天の為に飾られた花嫁のように整えられて、神のみもとを出て、天から下ってくるのを見た―その輝きは高価な宝石に似ており、透き通った碧天のようであった―」。エルサレムは、東西南北の城壁に囲まれ、邪悪な災いをさける為に12の宝石が土台石になっていると書き記されています。邪悪な人間が増え続けた為に、神は天罰“洪水”をもたらし、良心をもつ者のみ、エルサレムの都に迎え入れたと書かれています。なにやら「ノアの箱舟」をほうふつさせてくれるようです。
聖書に見る誕生石の意味を要約すると、『宝石の純粋な光のように清き心で謙虚に生きなさい。さすれば災いから身は守られる』人生は、良い時も悪い時もあり、良心を持ち続けることはたやすい事ではありません。誕生石は良心を持ち続け、災いから身を守ってくれる宝の石です。と聖書には説かれています。是非あやかりたいものです。
ところで、12の誕生石のルーツは、12星座が基になっていると、紀元一世紀、フラピウス・ヨゼフは自著「ユダヤ古代史」の中で書いています。12星座は6000年前、シュメール人によって考えられた世界観です。
星座石を調べてみると、宝石の持つ更なる奥深さが見えてきます。
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第2回誕生石、星座石、曜日石に秘められた真実
幼少時代、母の何気ない一言で、私の人生観は変わりました。それは、私の手相を見たときの事、「あれ、健ちゃんの生命線短いわ。あんた早死にやわ・・・」その一言が頭から離れず、毎夜、布団の中で「いつ死ぬんだろう」と泣いていました。
私は4月生まれ、京都は嵐山の近くで生まれました。母は、「あんたの生まれた日は、桜が満開やったのよ。でもその夜、春一番が吹き荒れて、全部散ってしまったのよ。あんたの人生、パッと咲いて、パッと散らんようにね・・・。」またしても少年の心に大きな影響を与えました。しかし、母の愛情をいっぱい受けて育った私は、生来の楽天家、まあいいか、私の手相は一本一本が太い、ならば“太く短く生きよう”といつしか心に決めていました。
大学4年生時、ヨーロッパのロンドン塔で、ある光輝くも物を目にし、心を射抜かれました。正体は530.2ct、世界最大のダイアモンド、カナリン1世です。その時初めて、ダイアモンドが私の誕生石である事を知りました。パッと咲いてパッと散る桜が4月の花なら、真逆の“永遠の輝き”ダイアモンドも同じ4月の宝石です。「桜のように短い人生でも、永遠に輝くダイアモンドのように何かを残したい」誕生石との出会いは、私を大きく前進させてくれました。卒業後、全国宝石学協会の門をたたき、毎日ダイアモンドの鑑定をしながら、生涯この仕事で何を残せるのか、自問自答を繰り返していました。
ジュエラーが提供する宝石、きっかけとなる誕生石は、人の人生を大きく変えてくれる宝物です。
一方宝石を本で学ぶと、権威・権力、そして富の象徴として説明されています。きらびやかな宝石で身を飾る王侯貴族の姿を見て、そう思う人もいるのですから、それは事実です。しかし、真実ではないと思います。「この王冠が頭上にある限り、この国に命をささげるのが我が使命です」ヴィクトリア女王の言葉ですが、宝石を身につけた王たちの真意は殆ど語られていません。
そこに本当に宝石を持つ真実があるのではないでしょうか。
“宝石に秘められた真実”を解き明かすその道標となる本があります。山中茉莉著「星座石・守護石」です。この書には、誕生石、そして関わりの深い星座石、そのルーツともなる曜日石の事が書かれています。
実は誕生石を知る上で、それ以上に宝石というものを知る上で、とても大切な事が記されています。
現代の誕生石の制定は1912年、アメリカの宝石組合がカンザスシティーで大会を開き、原則的な誕生石を決めました。その後、誕生石は幾度かの見直しが計られています。そしてイギリスやフランスの組合も加わり、1958年、日本もようやく誕生石を選定しました。
誕生石の意味する所は、イスラエル民族の神話をまとめた旧約聖書「エゼキエル書出エジプト」が基になっています。また新たに作り出された、新約聖書「ヨハネの黙示録」の12聖石が、誕生石の選定の中心になっています。ここで大切な事は、何に書かれているといった表面的な事では無く、宝石にどんなメッセージが託されているのかです。
次号に続く。
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第1回誕生石、星座石、曜日石に秘められた真実
東の空に、紅色の眩しい光がさし始めると、やがておびただしい光・エネルギーが放出される。初日の出は、すべての生命体が感謝を捧げる瞬間です。
皆様、2011年明けましておめでとうございます。1年のはじまり1月の誕生石はガーネット、ご存知でしょうか、誕生色は『想い紅』色です。希望と共に不安に揺らぐ心の内を、初日の出はあたり一面をガーネットのように、あたたかい『想い紅』色に染め上げてくれました。
20世紀から、21世紀に突入し、早10年。時代は著しく変わり始めています。世界情勢ではあっという間に中国が台頭し、日本では、自民党から民主党政権に代わりました。世相や価値観が変わる中、さて、ジュエリー業界ではどう変わるのでしょう。販売一辺倒から、リモデル、再流通業というビジネスモデルが形作られ、ジュエリー業界は完全に成熟期を迎えました。今後お店は何を大切にするのか、一つ間違えれば大変な事態が待っています。
“一年の計は元旦にあり”
ジュエラーのお店として、どの道を選ぶのか、いつの世もリーダーは決断を迫られ、胸の内は不安に駆られます。
“目を閉じて何も見えず、寂しくて目を開ければ、荒野に向かう道より他に見えるものなし―中略―ああ、さんざめく、夜空の星達よ、せめて鮮やかにこの身を照らせよ”
谷村新司の名曲“昴”の一節ですが、かつて王というリーダーは、星に願いを込めて、現在位置を確認し、一筋の光る道を見いだしていました。
星の神話、天文学、占星術が一体化した時代に、宝石・ジュエリーの歴史は始まりました。例えば今月1月は山羊座、星座石はブラックオニキスです。山羊座が天頂に来るこの月は、かの地では乾燥期、ヤギの頭を生贄にし、雨乞いをする季節でした。宝石言葉は“自然との対話”宝石メッセージは“気象予知”ですが、ブラックオニキスの黒は宇宙を示し、つまり宇宙である“自然と対話”し、雨乞いの“気象を予知”する願いが込められた大切な宝石でした。更に言えば、山羊座を支配する星は“土星”、農業の神“クロノス”ですが、農業には雨水はかかせません。土星は“黒”と“青”が象徴色。故に、黒い宝石を持つ事は、土星に敬意を表し、雨乞いの力を与えて頂く為のお守りでした。星座石には、先人の切実な願いが込められています。
ジューンブライド、6月の花嫁も星座石から読み取っていくと、実に深い話が潜んでいます。
一つ一つの星座石を読み取っていくと、おごり高ぶることなく自然に敬意を表し、何故先人が祈る気持ちで、宝石で身を飾る『宝飾文化』を生み出したのか、その真実の姿が見えてくる事でしょう。
それは現代を生きる人間に、とても大切な生き方を示唆してくれるのではないでしょうか。
今宵の夜空、頭上にはあの“すばる”が輝いています。では貴方が生まれた日は、どんな星が貴方を照らしていたのでしょう。星座石に込められた宝石メッセージをご存知でしょうか、そのメッセージは貴方にどんな勇気を与え、誕生石の宝石言葉は貴方に何を伝えようとしているのでしょう。
物は見ただけでは真実は見えません。しかし、学問をする事によって真実に近づく事が出来ます。私のライフワーク宝飾文化人類史の中の一つ『誕生石・星座石・曜日石に秘められた真実』を今年一年連載させて頂くことになりました。宝石・ジュエリーの正しいメッセージを、正しい姿勢で是非、ジュエラーのお店から発信しようではありませんか。今回の連載がそのお役に立てることを願ってやみません。
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ジュエラーとして“ジュエリーの本質を良く知って、グッドビジネスをする”これからのジュエラーのあり方の一つだと思います。
ジュエリーと共に、今を輝き、未来も輝く!